客から預かった日本刀を返却しなかったとして勝山剣光堂(福井市)の代表取締役の男が業務上横領などの罪に問われている事件。
当センターではこの事件に関する被害者の会を組織し、民事訴訟を争っている状態ですが、剣光堂側が近年、社会で問題となっている「振り込め詐欺メール」のような手口の督促書を被害者に送りつけています。
当センターの協力弁護士は「誤認や困惑を誘発する内容」と指摘し、刀剣愛好家らに応じないよう注意を呼び掛けています。
内容は次のようなものです。
愛知県の男性にはメールで催告書が届きました。銀のハバキ(刀の金具)作製10万円に、トラブル解決代金などとして30万円を加えた40万円を請求。
金融機関の3営業日以内に支払いを完了させないと「所有権は債権者(編注・勝山剣光堂)に移転して契約を終了する。その後はいかなる理由でも回復しない」などと主張しています。
神奈川県の男性には同様の内容の督促書が「内容証明郵便」で送られています。
あたかも、見てもないアダルトサイトの視聴料として高額の費用を請求する特殊詐欺メールのようです。
代表取締役の男は拘留中なので、この会社の関係者がこういった文書を出している可能性があります。
この督促書問題を見ると、この事件が逮捕された男だけでなく、組織ぐるみで行われてきた可能性が高いといえるでしょう。
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越前町小川区の
農業補助金虚偽報告問題では、町の不作為が浮かび上がっています。
というのも刑事訴訟法には「何人も犯罪があると思料するときは告発することができる」とあり、さらに「官吏または公吏(公務員ですね)は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなけらばならない」とあるためです。
つまり補助金の使途の報告書を確認するという「公務」に関し、有印私文書偽造・同行使という刑法犯罪があったと分かったにもかかわらず、それを告発せず放置したわけですから、刑訴法違反ということです。
適正に使われるべき公金の使い道に関する件であり、実際に補助金をプールするという事態になったのですから、決して軽微な犯罪とは言えず、裁量の範囲を超えているとしか言えません。
小川区という小さな集落の問題として放置できる問題ではないでしょう。
今回、問題となった中山間地域等直接支払制度は、後継者不足が問題となっている農業の振興のためのものです。
この犯罪により今後、農業を支えていく存在である請負の農業者に対し、支払われるべきお金が払われなかったのですから、制度の根幹に関わる問題と言えるでしょう。
また適当に公金をプールできることが明らかになったことで、制度の欠陥も浮き彫りとなった形です。
町は捜査に全面的に協力するのは当然ですが、告発人の一人に名を連ねるべきです。
また国、県も、この問題を軽視せず、実態調査や監査の強化など制度改正に踏み切る必要があるでしょう。
県会、町会それぞれの議員にもしっかり議会で追及してほしいものです。
越前町小川区の農業者団体が町に提出した補助金の使途報告書に虚偽記載があった問題に関し、当センターが協力した刑事告発が受理されました。
農業団体の代表者ら2人が、支払っていない作業活動費の領収書を偽造し不正に補助金を取得したというもので、ある農業者がこの2人を有印私文書偽造・同行使の疑いで鯖江署に告発し、同署が受理しました。
この問題では昨年8月、福井新聞に掲載されました。
農業者団体側は報道を受け「手当を支払ったことにして補助金をプールしていた」として、団体の総会で謝罪しました。
この補助金は中山間地域で農家をする人に対する直接支払制度というものです。
集落単位で農業者団体を作って補助金の受け皿にするという形がよくとられています。
問題は、団体の代表(つまり集落の長老たち)が、ほかの農業者が草刈りなどをしたのに対し手当を支払ったことにして、補助金をプールしたというものです。
草刈りをした人にお金は支払われていませんでした。
この問題の背景には、土地を所有せず請負で農業をしている人を在来の農業者が軽視しているという点があります。
つまり「小作人」という感覚ですね。
請負農業者がまだいなかった頃には、補助金を適当にプールしたりということも集落内の内輪の問題としてまかり通っていたようです。
しかし外部の人間である請負農業者が入り込んだことで、旧態依然としたやり方に対し指摘が入り、通用しなくなりました。
この問題は、こういった集落側の独りよがりな思惑が引き起こしたと言えます。
脱サラなどで農業者となった人たちは決して楽な生活ができているとは言えず、もらえるべきお金が入らないのは辛いものです。
当センターの調査によると、こういった補助金の不適切な扱いは県内全域で行われているようです。
農業の後継者不足が問題となっている中、早急に改められる必要があります。